はじめに---
珈琲の淹れ方は人それぞれなので、当店の珈琲が美味しくないと感じたり、どんな方法で淹れて味を確認しているのか、気になった方はこちらを参考にしてください。

1/4 珈琲粒の大きさ
ペーパーとネル、どちらのドリップの場合でも粗挽きにします。だいたい米粒くらいです。
ですがミルは手動も電動でも粒は一様には揃いませんので、
ペーパーの場合、米粒ほどの大きさ、砂粒くらいの大きさが、だいたい3:1で大丈夫です。
ネルの場合は同じか、もう少し粗く、米粒より大きく挽きます。


2/4 珈琲豆の量
1杯分を100ccとして、
1~2杯分だけを淹れるときは、1杯あたり15gの豆で淹れると、十分に濃く、美味しく入ります。
3杯分以上からは1杯13gで準備しても同じくらいの濃さで淹れることができます。


3/4 ドリップ方法
湯を沸騰させた後、火を少し弱めて、湯面がゆらゆらと安定した状態になったら抽出用のポットに移します。
珈琲液の温度が高いほど、飲んだ時の苦味は強調されます。

ペーパードリップ
まずドリッパーに濾紙を敷き、熱湯を注いで紙の臭いを取り除いてから、挽いた珈琲豆を投入します。

以下1杯分/100ccの淹れ方です。
①珈琲液がペーパーの底から抽出し始める寸前まで、珈琲豆に湯を満遍なくいきわたらせたあと、
20~30秒蒸らします。
②ドリッパーから抽出液が点滴で落ちる程度の湯量で、70ccまで淹れます。
③残りの30ccは抽出液が点滴で落ちなくても大丈夫です。
薄めが好きな場合、30cc以上淹れます。

複数杯淹れる場合、上記の数量に杯分掛けてください。

ネルドリップ
初めから終わりまで、ポットから落とすお湯を遅い点滴か細い湯で、常に蒸らしながら珈琲液を抽出します。お湯は少し高い位置から落とすように工夫してみてください。
珈琲粉末から泡が出るようだと、湯量が多すぎるか、同じ場所に落とし過ぎています。
ネルドリップはペーパーに比べて味は濃く円やかに入りますが、特に濃く淹れる場合は遅い点滴のみで蒸らしながら抽出します。

ペーパードリップの補足
準備の手軽さや淹れる量から、ペーパードリップで100~110ccの人数分を楽しむ機会が多いと思います。
この場合大事なことは、珈琲の持ち味を70ccまででほぼ出し切るつもりで淹れることです。
残りの30~40ccは好みの濃さを調整するためにあります。
2~3人分も同様で、それぞれ140ccと210ccまでで出し切るつもりで淹れます。

抽出時間が長すぎると渋みが出やすい為、市販のペーパードリッパー(4杯分)の大きさでも、一度に淹れるのは3杯分までに留めると渋みが出難く、安定した味わいを抽出できます。
4杯分以上を一度に淹れる場合、点滴と細い湯をうまく織り交ぜ工夫した抽出が必要です。


湯滴の様子

珈琲ドリッパーに点滴を落としているのは主に赤い部分です。
青い部分は少ししか落としません。
着色されていない周縁部に落とす時は、ドリッパーを傾けドリッパー中央部に湯を誘導するようにします。



4/4 ドリップ道具
深い焙煎の珈琲を美味しく淹れるときに気を付けるのは、渋みを抽出してしまわないことです。
ドリップ時、挽かれた豆に長い時間 湯が触れ続けてしまうと、その分だけ渋みが抽出されてやすくなるため、
底に珈琲液が溜まらないようなドリッパーを使用すると安心です。
当店ではハリオのドリッパーを使用しています。
底の開口部が大きい為、濾紙の底面が露出していて、濾紙本体から直接珈琲液が滴下する仕組みが、深い焙煎の珈琲抽出と相性が良いからです。

ペーパーはハリオとメリタを2枚重ねています。
ハリオのドリッパーはペーパーが1枚だと早く落ちすぎてしまい、同じ種類のペーパーを2枚重ねると遅すぎるので、
内側にハリオと、外側に少し折り込んだメリタを重ねて使用します。


ネルドリップの場合、当店では起毛面を外側にして使用します。
ネル生地には片面起毛、両面起毛があり、また生地の厚さもいろいろありますが、
大事な点は起毛の量なので、あまり薄い生地や使い込んで起毛の少なくなったドリッパーは湯の通りが遅い為、使用しません。
 
市販のネルドリッパーは深い紡錘形をしています。1人分を抽出するには珈琲豆上面の面積が狭いと感じるときは、ネルの長さを切って詰めます。


ポットは湯が細く出るものを使っています。
一度に沢山出るものより、湯量の調整が容易なので、当店のような淹れ方の際はおすすめします。